犬と巡った四国八十八ヶ所巡礼|車中泊8泊9日の記録【後編】

前編では、今は亡きチワワのココアと四国へ渡り、お遍路の準備を整え、札所や遍路道を一緒に巡った記録を振り返りました。

何も分からないまま始めた四国八十八ヶ所巡礼。

ココアを助手席に乗せ、道の駅で車中泊をしながら、第1番札所・霊山寺から第88番札所・大窪寺を目指しました。

しかし、8泊9日の旅は、お寺を順番に巡るだけの穏やかな旅ではありませんでした。

朝から夕方まで札所を巡り、夜は翌日のルートを考える。

狭い山道を走り、車の底を擦り、途中ではタイヤを交換することにもなりました。

その一方で、八栗ケーブルや太龍寺ロープウェイ、雲辺寺ロープウェイから眺めた景色など、今も忘れられない時間がいくつも残っています。

そして迎えた、第88番札所・大窪寺。

すべての札所を巡り終えたとき、大きな達成感があったはずなのに、当時の気持ちは意外なほど静かなものでした。

後編では、ココアとの車中泊や移動中の出来事、印象に残った札所、結願の日、そして高野山奥之院への報告参拝までを振り返ります。

これは、ココアと一緒に巡った8泊9日の四国八十八ヶ所巡礼、その後半の記録です。

前編から読みたい方はこちらです。
👉 犬と巡った四国八十八ヶ所巡礼|車中泊8泊9日の記録【前編】

第三章 車中泊と移動の日々

四国八十八ヶ所の全行程は、約1,300kmあります。

僕は今は亡きチワワのココアと一緒に、車中泊をしながら8泊9日で一度に巡る「通し打ち」をしました。

朝7時頃に出発し、夕方5時頃まで、ほとんど休むことなく札所を巡る毎日でした。

当時は「結願したい」という気持ちが強く、一つひとつのお寺をじっくり味わう余裕はありませんでした。

今なら、もう少しゆっくり歩き、境内の空気や景色も楽しみながら巡ると思います。

道の駅で過ごした車中泊の夜

宿泊は、すべて道の駅での車中泊でした。

四国遍路の途中で車中泊をした車内

巡礼したのは7月だったため、夜になっても車内はかなり暑く、扇風機を回しながら眠ったことを覚えています。

車中泊の車内で夜を過ごすチワワのココア
夜の車内で過ごすココア

車中泊で巡るなら春か秋がおすすめ

これから車で四国お遍路を考えている方には、春の3月中旬から5月下旬、または秋の9月下旬から11月頃の巡礼がおすすめです。

夏や冬に比べて暑さや寒さが和らぎ、車中泊もしやすく、参拝にも集中しやすいと思います。

特に犬と一緒に巡る場合は、車内の温度管理に十分な注意が必要です。

車の底を擦った狭い山道

車で巡る四国八十八ヶ所には、道幅が狭く、運転に注意が必要な道路があります。

巡礼からすでに7年ほど経っているため、どの札所へ向かう途中だったのか、正確な場所までは覚えていません。

それでも、何度か切り返さなければ曲がれないほど鋭角な道を登り、車の底を擦ってしまったことは、今もはっきりと覚えています。

当時、とても狭い山道を走る様子を動画に残していました。車で四国遍路を考えている方は、道の雰囲気を知る参考としてご覧ください。

峠道の途中で気づいたタイヤの摩耗

今の僕はタクシー乗務員なので、長距離を走る前に車を点検しておく大切さは、重々理解しています。

しかし、四国八十八ヶ所を巡った当時は会社員でした。

運転そのものは好きでしたが、仕事では自分でハンドルを握るよりも、部下が運転する車に乗ることの方が多く、車の整備についてはかなり無頓着でした。

四国へ出発する前も、長距離と山道を走る旅でありながら、タイヤの状態を十分に確認していませんでした。

巡礼が始まり、急勾配やカーブの続く峠道を何度も走るうちに、ふとタイヤが気になりました。

車を停めて溝の深さを確認すると、車に詳しくなかった当時の僕でも、「さすがにこれは危ない」と感じるほど摩耗していました。

イエローハットでタイヤ交換
タイヤ交換のために立ち寄ったイエローハットで待つココア

このまま峠道を走り続けるのは危険だと思い、途中でイエローハットに立ち寄り、タイヤを交換しました。

幸い大きなトラブルになる前に交換できましたが、本来であれば、四国へ旅立つ前に確認しておくべきことでした。

車遍路の出発前に確認しておきたいこと

四国八十八ヶ所を車で巡る場合は、長距離の移動だけでなく、急勾配や急カーブ、道幅の狭い山道も走ります。

普段の街中では問題なく走れている車でも、峠道ではタイヤやブレーキ、バッテリーなどへの負担が大きくなります。

少なくとも、出発前には次の項目を確認しておいた方が安心です。

  • タイヤの溝、ひび割れ、偏摩耗
  • タイヤの空気圧
  • エンジンオイルの量と交換時期
  • 冷却水の量
  • ウインドウォッシャー液の残量
  • バッテリーの状態
  • ブレーキの効きや異音
  • ヘッドライト、ブレーキランプ、方向指示器
  • スペアタイヤまたはパンク修理キット

僕のように旅の途中でタイヤの摩耗に気づいてから交換するのではなく、できれば出発前に整備工場やカー用品店で点検してもらう方が安心です。

特に、普段あまり車の整備を意識していない方や、長距離運転に慣れていない方は、自己判断だけで済ませず、専門の方に見てもらうことをおすすめします。

札所を予定どおり巡ることも大切ですが、まずは無事に帰宅することが一番です。

車遍路で注意したい道路と移動区間

四国八十八ヶ所を車で巡る道の中には、道幅の狭い場所や、急勾配、急カーブが続く区間があります。

僕は事前にドライブ巡礼用のガイドブックを購入し、紹介されていた推奨ルートを参考にしながら走りました。

ここからは、ガイドブックの情報と当時の記憶をもとに、特に注意しておきたい道路や移動区間をまとめます。

11番藤井寺から12番焼山寺

11番藤井寺から12番焼山寺までの間には、歩き遍路にとって「遍路ころがし」と呼ばれる難所があります。

車で向かう場合も、周辺には道幅が狭く、対向車との離合が難しい山道があります。

無理に最短ルートを選ばず、国道192号線へ戻り、県道20号線の新童学寺トンネルを通って県道21号線へ向かうルートの方が走りやすいとされています。

20番鶴林寺

20番鶴林寺までの道は、急勾配と細い山道が続きます。

途中には対向車との離合が難しい区間もあるため、速度を落とし、カーブの先を確認しながら慎重に進む必要があります。

21番太龍寺

21番太龍寺は山の上にあり、道の駅鷲の里から太龍寺ロープウェイを利用して参拝できます。

駐車場の出入口は、ロープウェイ乗り場の入口より少し手前にあるため、見落とさないよう注意が必要です。

27番神峯寺

27番神峯寺の手前は、急勾配と急カーブが続く山道です。

歩き遍路の方が道を横切りながら登っていることもあります。

対向車線にはみ出さないようにしながら、十分に速度を落として進む必要があります。

35番清瀧寺

35番清瀧寺の手前は、みかん畑の中を通る細い道です。

ヘアピンカーブもあり、場所によっては対向車との離合ができません。

カーブの先や対向車の有無を確認しながら、慎重に進む必要があります。

37番岩本寺から38番金剛福寺

37番岩本寺から38番金剛福寺までは、約94kmある長い移動区間です。

国道56号線などを通って南下しますが、移動だけでもかなりの時間がかかります。

途中で休憩を取りながら、時間に余裕を持って運転した方が安心です。

43番明石寺から44番大寶寺

43番明石寺から44番大寶寺までの道も長く、大洲や内子の山間部を通って約78kmあります。

距離だけでなく、山道を走る時間も長くなるため、燃料や休憩場所を事前に確認しておくと安心です。

45番岩屋寺から46番浄瑠璃寺

45番岩屋寺から46番浄瑠璃寺へ向かう際、国道33号線の三坂峠を下るルートには、道幅が狭く、対向車との離合が難しい場所があります。

砥部町の総合運動公園付近を通るルートの方が、比較的走りやすいとされています。

60番横峰寺

60番横峰寺までの道は山深く、冬は積雪や路面凍結に注意が必要です。

途中の駐車場に車を置き、上の原乗換所からマイクロバスに乗り換える方法もあります。

自分の車で横峰寺の駐車場まで上がる場合は、参道走行料や駐車料金が必要になることがあります。

66番雲辺寺

66番雲辺寺へ向かう場合は、国道11号線から案内標識に従い、雲辺寺ロープウェイを利用する方法が分かりやすいです。

無理に細い山道へ入らず、ロープウェイを利用することで、比較的安全に参拝できます。

道路状況は出発前に最新情報を確認する

ここで紹介した内容は、僕が巡礼した当時の記録と、当時使用したガイドブックを参考にまとめたものです。

巡礼から年月が経っているため、道路の改良や工事、通行止め、料金、交通手段などが変わっている可能性があります。

実際に巡礼するときは、出発前に最新の道路情報や各札所の公式案内を確認し、現地の案内標識にも従ってください。

予定どおりに進むことよりも、無理をせず、安全に次の札所へたどり着くことが大切です。

第四章 忘れられない札所

8泊9日に及んだ四国八十八ヶ所巡礼は、雨の日が多かったことを今でもよく覚えています。

雨が強い日はココアを抱っこして参拝し、小降りになると、小さな体で一生懸命歩いてくれました。

当時の僕は、お寺の歴史や建築に興味があったわけではありません。

「ココアと一緒に四国八十八ヶ所を結願する。」

そのことだけを目標に、毎日夢中で車を走らせ、札所を巡っていました。

今振り返ると、「このお寺の仁王門が印象的だった」「もっと歴史を知ってから参拝すればよかった」と思うこともあります。

しかし、当時の思い出として一番心に残っているのは、お寺そのものよりも、ココアと一緒にケーブルカーやロープウェイに乗り、山を登った時間です。

太龍寺ロープウェイ、八栗ケーブル、そして雲辺寺ロープウェイ。

窓の外に広がる景色を眺めながら、ココアと並んで山頂へ向かった時間は、巡礼の中でも特別な思い出になりました。

今でも時々、「もう一度、ココアと一緒にあの景色を見に行けたら…」と夢のように思い返すことがあります。

この章では、そんな思い出に残っている札所を振り返っていきます。

21番札所 太龍寺|西日本最長のロープウェイでココアと空中散歩

四国八十八ヶ所の旅で、最初に強く印象に残った乗り物が、第21番札所・太龍寺へ向かうロープウェイでした。

太龍寺ロープウェイは全長約2,775m、西日本最長のロープウェイです。
那賀川を越え、深い山々の上を約10分かけて進みます。

太龍寺ロープウェイの乗車券

乗車券は今でも大切に残しています。
見るたびに、ココアと山頂へ向かった日の記憶がよみがえる一枚です。

この日はあいにくの雨でした。
ロープウェイの窓には無数の雨粒が付き、遠くの景色は少しかすんでいました。

太龍寺ロープウェイから景色を眺めるココア

それでもココアは不安そうな様子はなく、窓の外を興味深そうに眺めていました。

抱っこしながら一緒に景色を眺めていた時間は、今でも鮮明に覚えています。

当時の僕は、お寺の歴史や文化を学ぶ余裕はありませんでした。
ただ「ココアと一緒に四国八十八ヶ所を巡り切りたい」という思いだけで走り続けていました。

だからこそ、立派なお堂や境内よりも、ココアと一緒にロープウェイへ乗り、同じ景色を眺めた時間の方が、今では大切な思い出として心に残っています。

85番札所 八栗寺|ココアと一緒に乗った八栗ケーブル

四国八十八ヶ所で特に印象に残っているのが、第85番札所・八栗寺へ向かう八栗ケーブルです。

ケーブルカーの中では、小さな体で落ち着かない様子を見せながらも、窓の外をじっと眺めるココアの姿がとても印象に残っています。

約4分という短い時間でしたが、今ではその何気ない時間こそ、大切な思い出です。

動画は画質こそ良くありませんが、当時の雰囲気はそのまま残っています。
ココアと一緒に八栗ケーブルへ乗った思い出として、ご覧いただければ嬉しいです。

66番札所 雲辺寺|旅の終盤に見た雨のロープウェイ

旅も終盤に差しかかった頃、第66番札所・雲辺寺へ向かうロープウェイに乗りました。

雲辺寺は標高約900mを超える場所にある四国八十八ヶ所で最も高い札所です。
山頂まではロープウェイで向かいました。

雲辺寺ロープウェイから景色を眺めるココア

この日も雨でした。
窓ガラスには雨粒がびっしり付き、遠くの景色は少しかすんでいました。

そんな景色を、ココアは僕に抱っこされながら静かに眺めていました。
少し眠たそうな表情を見せながらも、時折外へ顔を向ける姿がとても可愛かったことを覚えています。

旅の終盤だったこともあり、ココアも少し疲れていたのか、静かに窓の外を眺めていました。

雨に包まれた山々を見ながら、「もう旅も終わりに近づいているんだな」と感じたことを、今でも覚えています。
だから、お寺の歴史よりも、ココアと一緒に見た景色や、一緒に乗ったロープウェイの時間の方が強く心に残っています。

今振り返ると、太龍寺ロープウェイ、八栗ケーブル、そして雲辺寺ロープウェイ。
この3つの乗り物は、ココアとの四国お遍路を象徴する、大切な思い出になっています。

第五章 結願の日

8泊9日の車中泊による四国八十八ヶ所の旅は、無事に結願を迎えることができました。

当時は「最後まで巡りきること」で頭がいっぱいでしたが、今振り返ると、一冊の納経帳と御影帳には、その時の景色や気持ちまで残っているように感じます。

納経帳に残る当時の記録

お遍路を巡っていた令和元年当時、第62番札所・宝寿寺は四国八十八ヶ所霊場会を脱退していました。

そのため僕の納経帳には、当時の四国霊場会の御朱印が押されています。
現在では宝寿寺は霊場会へ再加入しているため、この御朱印は当時ならではの記録となりました。

いつか再び宝寿寺を訪れ、新しくいただける御朱印と見比べてみたいと思っています。

御影帳も旅の大切な思い出

各札所でいただいた御影も、一枚一枚が旅の記録です。

御影帳をめくるたびに、雨の日も晴れの日も、ココアと一緒に歩いたお遍路の景色が自然と思い浮かびます。

今では真言宗十八本山巡礼を続けていますが、その原点は間違いなく、この四国八十八ヶ所のお遍路でした。

第六章 高野山奥之院で満願

第88番札所・大窪寺で結願したあと、僕は高野山奥之院へ向かいました。

当時は、お遍路を終えたら高野山へお礼参りをするということは知っていましたが、その意味までは深く理解していませんでした。

「無事に巡ることができました。」
そんな気持ちを胸に、ココアと一緒に奥之院を歩いたことを覚えています。

静かな参道には樹齢何百年という杉木立が並び、四国のお寺とはまた違う空気が流れていました。

奥之院御廟で弘法大師へ結願を報告し、8泊9日にわたる四国八十八ヶ所の旅は、ようやく一区切りを迎えました。

あれから何度も高野山を訪れるようになりましたが、最初のお礼参りは今でも特別な思い出です。

高野山奥之院の御朱印
令和元年、高野山奥之院でいただいた御朱印

この時は、まさか7年後に東寺で「成満証」をいただくことになるとは、想像もしていませんでした。

第七章 7年後、東寺で成満

四国八十八ヶ所の旅は、令和元年7月13日に第1番札所・霊山寺から始まりました。

  • 令和元年7月13日 発願
  • 令和元年7月20日 結願
  • 令和元年7月28日 高野山奥之院で満願
  • 令和8年6月13日 東寺で成満

お遍路を終えた当時の僕は、第88番札所・大窪寺で結願し、高野山奥之院へお礼参りをして、この旅は終わったものだと思っていました。

しかし、それから約7年が経ち、真言宗について少しずつ学ぶようになり、東寺で四国お遍路の成満証をいただけることを知ります。

令和8年6月13日、真言宗の総本山・東寺を参拝し、成満証をいただいたことで、令和元年から続いていた四国お遍路の旅が、本当の意味で一区切りを迎えました。

四国八十八ヶ所巡礼 成満証

旅を始めた頃は、お寺の歴史や真言宗についてほとんど知りませんでした。
ただ、愛犬ココアと一緒に四国八十八ヶ所を巡りたい。その気持ちだけで車を走らせていました。

あの旅がきっかけとなり、高野山へ何度も足を運び、善通寺や金剛峯寺を再び参拝し、現在は真言宗十八本山巡礼も続けています。

四国お遍路は、僕にとって「終わった旅」ではなく、新しいご縁の始まりでした。

そして何より、一緒に旅をしてくれたココアとの8泊9日の思い出は、一生の宝物です。

四国お遍路の成満証をいただいた東寺での参拝については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
👉 四国お遍路の成満証をいただきに東寺へ|満願から7年後の参拝記

他の参拝記も、こちらにまとめています。
👉 御朱印・参拝記一覧はこちら


📌 このブログでは、50代から働き方や生き方を自分に合う形へ整えていく実体験を綴っています。
🌿 ひとり時間を大切にしたい方
🛐 御朱印めぐりや一人旅が好きな方
🚖 無理しない働き方を選びたい方
僕の実体験が、あなたの“静かな一歩”のヒントになれば嬉しいです。

👉 運営者情報|空心たく(たくじん)自己紹介はこちら